調理同好会能登合宿 世界農業遺産「能登の里山山海」と食文化を訪ねて
9月28日から30日まで、調理同好会の有志生徒10名が、2泊3日の能登合宿を行いました。
調理同好会では、食を通じた社会貢献を活動の柱として、食品ロス削減や地域の企業・団体との商品開発、フードバンクへの寄付などに取り組んでいます。
今回の合宿では、これまで紫峰祭の販売利益を寄付してきたフードバンク能登を訪問するとともに、能登の食文化やそれを育む自然、地域の暮らし、受け継がれてきた文化、震災からの復興について、実際に現地を訪れ、人と出会いながら学ぶことを目的としました。
初日にまず訪れたのは、ワイプラザ輪島で開催されている出張輪島朝市です。生徒たちは自由に散策し、海産物などを購入しました。商品について丁寧に説明していただいたり、会話を交わしたりする中で、朝市の皆さんの温かさに触れました。

続いて、白米千枚田を訪れました。
白米千枚田は、世界農業遺産「能登の里山里海」を象徴する景観の一つです。能登の里山里海は、伝統的な農林水産業だけでなく、それと深く結びついた文化や景観、生物多様性などが一体となった地域として世界農業遺産に認定されています。
ガイドの方から棚田での米づくりについて説明を受け、生徒たちは大小さまざまな田んぼを実際に見ながら、人の手によって農業や景観が守り継がれてきたことを学びました。
一方で、令和6年能登半島地震によって、棚田には亀裂や崩落が生じ、用水路などにも大きな被害が出ました。その後、一部で米づくりが再開されましたが、同年9月の豪雨によって再び被害を受けています。現地では、海岸線の変化や崖の崩落、復旧が進む場所などを実際に見ながら、現在も復興への歩みが続いていることを学びました。
ガイドの方からは、発災当時のお話も伺いました。お正月で観光客も訪れていた中、地震によって道路が寸断され、地域が孤立したこと。観光客は発災から数日後に救助された一方、地域で暮らす方々は、その後もしばらくその場にとどまって生活しなければならなかったことなどをお聞きしました。
同じ場所にいて同じ災害を経験しても、「訪れていた人」と「そこで暮らし続ける人」では、その後の時間が大きく異なることを知り、生徒たちは真剣に耳を傾けていました。
また、棚田を復旧するだけでなく、これからも米づくりを続け、地域の暮らしや文化を次の世代へつないでいくためには、若い世代が地域に暮らし、担い手となっていくことも大切であると教えていただきました。
生徒から「朝市の皆さんが優しかった」という感想が出ると、ガイドの方が教えてくださったのが「能登はやさしや土までも」という言葉です。能登で実際に出会った皆さんの温かさと重なり、心に残る言葉となりました。

午後は、能登の伝統的な魚醤「いしる」を製造する舳倉屋を訪問しました。魚醤は、魚介類を塩とともに発酵・熟成させてつくる調味料です。能登では「いしる」「いしり」など、地域やつくり手によって呼び名が異なり、舳倉屋ではイカを原料とした魚醤を「いしる」と呼んでいます。
調理同好会では現在、取手市の歌舞伎あられ池田屋とともに、今年度の紫峰祭で販売する「地域共創あられ」を開発しています。その一つに使用しているのが、舳倉屋の「いしる」です。
今回は、実際につくられている場所を訪れ、製造方法や能登の食文化について直接お話を伺いました。ベトナムのニョクマムやタイのナンプラーとの比較を通して魚醤への理解を深めるとともに、震災の影響や、伝統的な食文化を守り続けることについても考える機会となりました。

食材を単なる材料として捉えるのではなく、その背景にある自然や暮らし、文化、そしてつくり手の思いまで知ることも、今回の合宿で大切にした学びの一つです。
翌日は、石川県立能登高等学校での調理交流や、これまで寄付を続けてきたフードバンク能登への訪問を行いました。
2泊3日の能登合宿での学びや交流の様子は、今後数回に分けて学校ホームページで紹介していきます。
調理同好会公式Instagramでも、日々の活動や今回の能登合宿の様子を発信しています。ぜひご覧ください。
